ここの住人の中で長女の鼓が一番の保守派だ。
一人だけ身勝手な両親に引っ張られて来てしまったこともあるし、地元の学校に通っているということも大きな要因。この前食卓で竹を食べる道産子馬の話が出た。手入れができていない林や里山の下草を食べさせたら地域貢献もできるし、農資材の運搬にも使えるしいいね~なんて話をしていた流れで鼓の学校まで馬車に乗って迎えに行く~なんて言ったら半泣きで拒否された。
牧丘での生活では、共同生活という要素は欠かせない。
ほぼ毎日食事を共に取る。一緒に働いて、なんとなく協力して暮らしを回していく。でも、その共同生活っていう言葉は、どうもストイックな印象を持たれることが多いらしい。人によっては宗教的なものまで感じ取るらしい。共同生活よりシェアーハウスの方が印象がやわらかい感じ。確かに。でもカタカナが苦手な近所の方にはちょっと伝わりづらい。
外から見た印象と実情は常に違いがある。この前、隣の部落の長老からこんな話を聞いた。
あそこの家はなにして食っているのかよくわからん。それに小学校の女子がいるのに、独身の男性なんかうろうろしていて大丈夫か?なんて話。直接僕らのことは知らないけど、若い奴らが引っ越してきたことは知っている、そんな皆さんに不安を与えていたらしい。僕らは異物。とても当たり前な反応で、移住してからそれほど時間が経っていない事を再認識する。その長老との会話はとても興味深かった。
農村の高齢化の話と後継者不足。ご先祖から引き継いできた恵みの大地が放置される危機。
若い人が来ても、うまくいかない。手をこまねいている内に老いが進む。
共同生活について、いぶかしがっていた長老にその理由の説明をした。新規就農で慣行農法を始める際、ビニールハウスや農機具、耕耘機や管理機、肥料農薬などの農資材を一気に投資することになる。そのため農協から借金して資金を調達して経営を開始する。金を借りることで、金を返すための仕事が始まってしまう。だから暮らしも回らなくなって経営が行き詰まって失敗してしまう。だから、僕らは金を掛けないで暮らしを作りたいと思っていること、そして自分の食べるものは自分で作りたいと思っているので、換金作物の果樹だけじゃなくて野菜にも穀物にも農地を使いたいと思っていること、経済の針の振り子をできるだけ小さくしたいと思っていることを伝えた。
そのプロセスを踏んでいくには借金して身の丈に合わない設備を買って始めるより、仲間と一緒に協働・分業して進めたほうがより早いし安定感があると経済絡みの話をしたら納得してくれた。長老はなにより地域から信頼されるには経済的に自立していること。そうすれば地域にすぐ溶け込めると言われた。
実情は、アホビレッジで好きなことして暮らすために、家族と仲間と寄り添って力を合わせて暮らすのだ。目指すは田舎でもない都会でもない質のいい豊かな暮らし。自己犠牲や清貧なんぞ端から勘弁!でも空間と時間をうまく共有して幸せでいるには、ちょっとした工夫も必要だったりする。
自分も他の人も好きなことだけするんだけど、その好きなことが誰かの益につながっていると、自分も周りも気持ちがいい。そして人に期待しない。期待をすると出てくるのは不満。期待しないと出てくるものは感謝。人は自分の思い通りにはならないから、最初から人の気まぐれに感謝したほうが幸せだ。
独占欲、顕示欲、支配欲、秩序欲・・暮らしながら自分にもいろんな欲が潜んでいるなーと思う。でも、欲に走ると最終的には奪い合い。奪い合うなら別に暮らしたほうがいい。欲は不安の裏返し。ストレスを感じる時は何を不安に感じているか向き合うきっかけだ。「個」でなく「共」の思想と行動が関係に安心を生み出すようだ。
それぞれが好き勝手やる結果が融合して思いもしないようないい形になっていく。多様性と融合が面白い。だから友族が移住してしまうのはとても残念。運気の流れがいい時は偶然が味方してくれるけど、避けられないこともある。
共同生活とシェアーハウス。僕らの場合は寝室をシェアーするほどプライベートがないわけでもない。でも一人だけだとアップアップになっちゃうし、分けたら足りない。だから土地と働く家の設備をシェアーする。土地を共有するから一緒に働き、食べ、暮らしを作る。
今日の午後は男衆3人で野焼きしつつ畑のデザイン。温室の設置場所とラビットランの設置プランを相談。
夜はトマトクリームパスタと生姜の効いたコンソメスープ。そんな感じの暮らし。
7 コメント:
なるほど!
いろいろ聞かれたらそういう風に説明すれば良いんだ。
なかなか勉強になるブログだな~
=じーの=
みっちー、今年もよろしく!
地域の人たちとのお付き合い、深く共感します。
うちもいちおう歓迎されているようだけれど、
何やってるかわからない人たちという風には思われてると思います。
これから、ちょっとづつコミュニケーションしていきたいと思っているよ。
いろいろ、またシェアしてください!
あんじゅさん、こちらこそよろしくです!
裏磐梯の魔女の畑つくりも楽しそうですね~。
みっちぃ。
あけおめ!!今年もヨロシクデス。
文章を読ませてもらって、つづちゃんのことが心配になりました。
みっちぃ達の身に起きていること同様、つづちゃんは学校で起きているのではないかと。
0からではなく、多感な時期からの新しい生活。
しかも特殊な家族構成。
一般的(といわれる)生活している人の価値観をもった親御さんの考えがその子供達にも反映し、
つづちゃんは学校ではどのような生活を送っているのか。
葛藤の小さな種が生まれつつあるのではないかと。
しかも、げんちゃん&うたちゃんの誕生でママやパパの手を煩わせたくないと言う思いもきっとあるだろうし・・・。
この生活が素晴らしいと胸を張ってみっちぃたち牧丘のみんなが切り開いていくことが、つづちゃんの心を勇気づけていくことは間違いないのだけど、それをつづちゃんが心からそう思えるまで、心が潰れないように見守ってあげたいなぁ。。。
・・・・って言っても、今の私にできることはおじゃまあして、つづちゃんとお話したり、遊んだりすることくらいしかできないんだけど(*。*)
前職場が手続きをしてくれなくて、身動きが今は取れない状況なので、もうちょっとしたらおじゃましたいなぁ。。。
早朝のコメントありがとう!
さくぺの言うとおり、胸を張って生きております。
今は立ち上げの時期だから、苦労を掛けてるけどそのうち誰よりもいい暮らしを送れる様になるはずなので、あまり心配してないよ。彼女が人の親になるころ振り返ってみて理解してくれればいいと思います。
みっちー安曇野に行く事になったけど今年もよろしく!
つづの馬でお迎えのエピソード、ぐっときたよ。
小さなハートの中で日々葛藤している彼女の心が伝わってきた。
子どもは、生まれる前に人生の学びを決めてやってくる...らしい...身体も心も使う日常で、親も子ども関係の密度が濃い感じが伝わってくるよ。
今年もよろしくね!
nanaoさん、手紙よんだよ~。
住む場所決まってよかったね。
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